岸辺露伴が集う場所

ニコニコ動画を長く見ていて、特に最近のMADや初音ミク祭りを見ていて、「作品を見てもらうために作品を作っている」という、まるで岸辺露伴先生のようなクリエイターさんが非常に多く活躍されているような印象を受けています。もしこれが気のせいでないのなら、ニコニコの将来は本当に明るいのではないでしょうか。

岸辺露伴先生とは

分かる方には説明不要でしょうが、岸辺露伴先生とは、「JOJOの奇妙な冒険 part4」に登場する、大変有名で売れっ子な漫画家のスタンド使いです。
その岸辺露伴先生、恐らく荒木飛呂彦先生の分身かなにかなのでしょうか、「世間からも認められて恵まれた生活をしているのに・・・」という言葉に対してこんなセリフを吐きます。

この岸辺露伴が金やちやほやされるために
マンガを描いていると思っていたのかァーーーーーッ!!
ぼくは「読んでもらうため」にマンガを描いている!
「読んでもらうため」、 ただそれだけのためだ
単純なただひとつの理由だがそれ以外はどうでもいいのだ!

他にも岸辺露伴先生は色々と面白い(そしてちょっとどこかの世界に逝ってしまってる)名言をいくつも残されているのですけれども、自分には、ニコニコで様々な才能を発揮されているクリエイターの人たちが、「たくさんの岸辺露伴」に見えてしまうのです。

「自分が作った作品」と「作品を作った自分」

アイドルマスターMADの隆盛、そして初音ミクの爆発的な隆盛。この流れの中を見ていると、自分の視点からは、クリエイターさん達が「作品を作った自分」よりも「自分が作った作品」が評価されることに重きを置いている印象を感じます。


そんなことを考えていると、ある時にふと頭に浮かんだのが、岸辺露伴先生の名言です。自分には、ニコニコクリエイターの方々が岸辺露伴先生に重なって見えてしまいます。
コピペ改変風に言うなら、こんな感じでしょうか。

この○○が金やちやほやされるために
動画を作っていると思っていたのかァーーーーーッ!!
ぼくは「見てもらうため」に動画を作っている!
「見てもらうため」、 ただそれだけのためだ
単純なただひとつの理由だがそれ以外はどうでもいいのだ!

作品そのものが評価され、見られる場所

アップロードする時のコメントや、「今までうpったマイリスト」のコメントなどにブログやHPのURLを記載される方も沢山いらっしゃいますが、それを差し引いたとしても、ニコニコ動画は、「作者」ではなく「作品」が前面に押し出されるような雰囲気が強く感じられます。極端な言い方をするなら、
「作者ですらも作品の為に身を捧げる下僕である」
という、まるでコミックマスターJのような世界といいましょうか。


このあたりは、モノを作れない自分のような人間から見た主観的な印象論でしかないのですが、バラエティに富んだ本当に沢山の「作品」がアップロードされ、それが沢山の視聴者に見られ、コメントを寄せられ、それを励みにまた新作が創作され、といったフィードバックが見事に機能している様子を見ていると、作品そのものが評価され、見たり見られたりできる場所というのは、時には辛らつなコメントを貰って凹むことがあったとしても、クリエイターさんにとっては創作意欲を大いに刺激されるものなのかも知れません。


そして、そういう空気がこの先も上手く醸成されていったら、ニコニコ動画は、吉川さんが本家ブログで言及しておられる「仮想世界の原宿ホコテン」という現在の姿を越え、まさにニコニコ動画的」としか言いようがない新しい姿のポータル/プラットフォームになるのではないでしょうか。