JPOPサウンドの核心部分が、実は1つのコード進行で出来ていた

「名づけて"王道進行"」

昨日アップロードされたニコニコ動画の中で、一部(?)で超話題になり、ジェバンニも幾人かでまくってる動画があります。それが今回のタイトルになった「JPOPサウンドの核心部分が、実は1つのコード進行で出来ていた」シリーズです。
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少なくとも過去30年に渡るJ-POPの代表的なヒット曲の特にサビの部分において、

「IV△7 → V7 → IIIm7 → VIm

この和音進行が使われまくっているという事を、実際に音を鳴らしながら実証して見せたというものです。投稿主は「動画を見ている人が分かりやすいように、比較しやすいように」ということで、実際には全てCメジャーコード(極端に端折って言うと、基本的に黒鍵を使わない白鍵だけのドレミファソラシド)に転調して演奏している動画です。動画の冒頭でも述べられているように、「J-POPとはなにか、J-POPとは一体どのような楽曲をいうのか」に対する、究極の答えを示す動画と言っていいと思います。演歌というジャンルにおける「ヨナ抜き音階」と同様の基本的なお約束ですね。

実は自分は、この動画タイトルを見た時点では「はいはいカノン進行カノン進行w」とか思ってたのですけれどもねw

「王道進行」とJ-POPと洋楽

この動画では、「日本人はなぜかこのコード進行が大好物である」事を、過去30年に渡る「J-POPの代表的なヒット曲」を上げるばかりではなく、後編の動画において「日本でも大ヒットした洋楽POPS」を例示してみたり、ユーロビートが唯一商業的に生き残っている唯一の国が日本である」事を言及することにより実際に実証して見せています。どのような曲が挙げられているか、どのような論理があるかということは、実際の動画を見ていただくとしても、この投稿主の「音極道」さんの実証と論理には反論の余地がないでしょう。動画の中には、驚きの声が多数あったり「コードは限られているんだから当たり前だ」的な話もあったり、まあ軽く喧喧諤諤があるわけですが、そういう反応をじかに見られるというのは、アップロードをした「音極道」さんにとっても私たちによっても非常に良いことだと思います。

音極道さんによるもう少し詳細な解説はこちらです。

JPOPサウンドの核心部分が、実は1つのコード進行で出来ていた、という話
http://www.virtual-pop.com/music/2008/10/jpop.html

とにかく語りたい事が多すぎて、最初のテイクでは1時間以上になってしまって焦りました。

分割してもいいし字幕無くてもいいから、是非ノーカットでうpって欲しいと思います。無編集だろうがなんだろうが、こんな良質なコンテンツをニコニコユーザーが見逃す筈がありません。ニコニコユーザーの皆さんが字幕つけてうpり直してくれると思いますよ。

ジェバンニの登場

まあここまでなら、今までのネットのプラットフォームでは普通にYoutubeでうpされてブログで多数のトラックバックが貼られるという話で終わるのでしょうが、さすがニコニコ動画、こういうのに対して「文章やトラックバックではなく、さらに動画という形でアンサーを帰す」という人が登場します。何人かのジェバンニ一晩でやってくれました

王道進行だけでニコニコの曲を表現してみた1
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※実際にはpart3まであります
「王道進行」っぽい曲をかき集めて繋げてみた
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エアーマンが倒せないやらみっくみくやら鳥の詩やら「god knows ... 」やら、もう本当に数多くの楽曲が王道進行を使用しており、それゆえに「適当にかき集めた曲が、メドレーや二重奏で見事に綺麗に繋がる」ところが大変興味深いですね。先の音極道さんの動画がうpされた時点では「JPOP涙目wwww」「さすがJPOPは糞www」みたいな反応があったのですが、自分たちが支持していた曲もまさにど真ん中だったのがまあ面白いといえば面白かったかなw

「お約束」の安易な活用による、コンテンツの画一化

音極道さんが後半の動画で述べているように、王道進行そのものに罪はありません。音楽というものの特性上、「大多数の人が気持ちよく聞こえる音の組み合わせ」というのは非常に限られており、ソフトウェアにおける「フレームワーク」のように活用するというのは、表現上でも商業上でも非常に有効なことです。音極道さんもおっしゃってますが、「実力や個性はあるが、売れないミュージシャンを世に知らしめるためのカンフル」としても非常に有効だと思います。問題なのはやはり音極道さんが批判しているように「安直なお約束に頼った安直なコンテンツ作りが横行している」ことでしょうね。音極道さんはavexレーベルの最近のヒット曲を批判されていますが、これは恐らくブーメランとしてニコニコ動画ユーザーにも跳ね返ってくる批判だと思います。一つのジャンルが流行れば雨後の筍のように亜流や亜種が出てきてしまう現状は、「売上」を「再生数/コメント数」に置き換えれば、まさにニコニコ動画の状況と同じといっても過言ではないかも知れません。私たちニコニコ動画ユーザーも、音極道さんが発表したこの批判のまな板に乗っているのではないでしょうか。