ニコニコ時報CMってどうよ

ニコ動「時報」に広告も 収益化へアイデアいろいろ
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0711/07/news048.html

 ニワンゴは、「ニコニコ動画(RC2)」の黒字化を目指し、収益源になりそうなアイデアを検討しているようだ。開発者ブログはこのほど、動画に強制的に割り込む時報に入るスポンサーの募集を始めた。
 毎日午前0時、全ユーザーの動画再生を強制的に一時停止して割り込む番組「公共コメント委員会」のスポンサーを募集する。「毎日10万人から20 万人が同時に視聴するネット上でもっとも印象的な広告枠」として1週間単位で販売したい考えで、「スジャータさん、ロート製薬さんは特別価格でご提供したい」(開発者ブログ)

ニコ動時報に広告を載せて収益を得るというのは、アレを見た人の100%が考え付くアイディアでしょうし、有料動画配信というのそれなりにありがちなアイディアなのでそれら自体の驚きはそれほどないのですが、ニコニコ動画がそういう「普通」なアイディアを実行してくる事が意外といえば意外で、なんというか「ユーザーに新しい価値を生み出しそうにない」アイディアを実行してくるという点に驚きがあります。

ニコニコ時報CMは新しい価値を生み出せるのか

ニコニコ動画の根本的アイディア「動画の上にコメントをスーパーインポーズする」、これは全く新しい楽しみをネットユーザーに与えました。
ニコニコ市場も、ブログでいうところの「アマゾン芸のパワーアップや、ネタで商品購入といった「小ネタ的楽しみ」、欲しい商品を衝動買いする楽しみをユーザーに与えました。
しかし、「ニコニコ時報CM」は、現在の仕様(強制再生、音声のみ、コメント停止)ではユーザーの楽しみを邪魔するのみで、新たな「価値」を与えるものとはどうもイメージができません。今でも少なくないユーザーが「時報」にイライラさせられていますが、それはまだ時報」だからユーザーも大目に見てるんであって、これが企業CMとなればかなり厳しい評価になる可能性は高いですし、ニコニコが悪者になるならまだともかく、「CMを出している企業や商品」に対するイメージが悪化する事態もありえます。

しかしそうはいっても、ニコニコの赤字体質を改善するために少しでも収益が欲しいというのは当然ですし、収益が見込めるものは何でも使え、というのはある意味当然です。またニコニコ市場「買い物すらネタとする」ことで受け入れられたように、ニコニコ時報CMも導入の仕方によってはユーザーに新しい楽しみを提供できるかも知れません。不安要素や文句だけを言ってもあまり建設的ではなさげですし、ここはニコニコ時報CMを行なうことを前提に、「ユーザーの反感を減らし、ユーザーに新しい楽しみを見出させる方法」を妄想してみることにします。

時報」の不満要素を分析してみる

そもそも、「時報」が不満な理由は何かと考えると、大きく以下の二つの要素があると考えられます。

  1. 自分が見ている動画を強制的に中断されてしまうこと
  2. 時報が過ぎるのをただ待つだけであること

前者の不満は明らかですね。自分が動画に見入ってるところに無理やり中断させられるわけですからね。組曲ニコニコ動画弾幕を張ろうとしてるところであれがきた時の脱力感といったらありません。後者の不満も、時報に衝突した人なら分かっていただけることでしょう。「コメントはできません」という状態のまま、お知らせが過ぎるのを待つのは本当にイライラします。

「発生させない」ことと「解消する」こと

ここでよく考えると、前者と後者が「似ているようで実は違う種類の不満」であることが分かります。前者が「不満そのもの」であり、後者は「不満が解消されない不満」です。言い換えれば前者は「不満の発生」であり後者は「不満の増幅」です。不満が発生しないのがベストですが、不満が発生しても後者で解消すれば、結果的に不満と認識されることはありません。ノイズ対策は「ノイズそのものを発生させない」だけではなく「ノイズフィルタで消す」方法がある、ということと同じですね。

ここで時報の不満の分析に戻ります。「時報の存在」が不満そのもので、「時報が過ぎ去るのを、ただ待つしかない」ことが不満の増幅です。不満を「起こさせない」のではなく「不満がおきても、それを別方面で解消すればいい」という考え方を適用するなら、時報は不満だが、その代わり○○だから楽しい。むしろ時報カモンw」と思わせればいいわけです。

では具体的にどうすればいいのでしょうか。やはり「コメント」が鍵を握ると思います。

ニコニコ時報CMによる「不満」を解消する方法

ということで、こんな仕様を考えてみました。

  1. CMは音声ではなくムービー再生でコメントも可能
  2. CMムービーは別途再生可能
  3. CMムービーはニコニコ動画内でのみMAD再利用可能

まずムービー再生で「コメントも可能」とすることが、「時報の間何もできない」不満を解消する最短の近道でしょう。CM動画に八つ当たりしてもいいですし、スジャータktkrwwww」などとしてもいいでしょう。CMが始まったところで真っ赤な誓いいいいいいいいいいいい」など誤爆ったのが流れると、CMを見ているほうも誤爆したほうもネタとして楽しめそうです。
CMムービーが別途再生可能になれば、時報のときの混乱っぷりや特に誤爆っぷりが追体験できるでしょうし、そもそもCMは「沢山の人に視聴してもらう」ためのものですから、時報以外で見られるというのは、CMの効果が明らかにあがるわけです。
そして「CMムービーはニコニコ動画内でのみMAD再利用可能」にすれば、それはニコニコの職人や視聴者への多大なメリットとなります。「CMを時報で流させてくれ、その代わり、CMムービーはMAD利用してもいい」ということになれば、CMで邪魔されるデメリットを帳消しして余りあるのではないでしょうか。もちろん、さすがにそんな太っ腹なことを言ってくれるような企業やCM制作者は現実には無いのでしょうけれどもね。