新しいニコニコ動画のビジネスモデルを考えてみた

ニコニコ動画の収入の柱は、プレミアム会員費用とAmazonアフィリエイト収入、それとバナー広告収入とされていますが、やはりこれだけでは心もとないでしょう。そこでちょっとした小ネタ的ビジネスモデルを考えてみました。ちりも積もれば何とやらになるのか、焼け石に水か・・・。

当たり前の前提「ニコニコ動画の価値はコメントにある」

ニコニコ動画の価値は「動画」にあるのではなく「コメント」にある、それはニコニコ動画を語る人すべての共通認識だと思います。動画の上にスーパーインポーズされるコメントが色々な効果や疑似体験を発生させてそれを楽しむためにユーザーはニコニコに訪れ、プレミアム会員費を払うわけですね。コメントのないニコニコ動画など全くつまらないものですし、そこにコメントが沢山流れていたらついカッとなって「wwwww」などと自分も書き込んでしまう、そんな魔力がニコニコのコメントにあるわけです。つまり新しいビジネスモデルを考える際は、「ニコニコの価値とはコメントである」という前提に立つ必要があります。

有料コメントシステム「おコメ券」

そこで思い切って「お金を払ってコメントをする」というアイディアを考えてみました。グランドデザインとしてはこんな感じです。

  • 1回の再生内で有効な「おコメ券」をワンクリックで入手
  • おコメ券を買えばその1回の再生内でコメントつけ放題
    • 巻き戻しやループ再生中は有効、F5したら無効になる
    • おコメ券がなければ、コメントは見られるがコメント書き込み不可
  • 「おコメ券動画か否か」はうp主が適宜任意に切り替えられる
  • おコメ代の支払いは、ニコニコプレミアム会員費用と同時に決済
  • 回収したおコメ代は、投稿者とニワンゴで分配

常考的にはかなり常識外れではありますが、かつては「お金を払えば広告が見られますよ」ビジネスをやってたニワンゴなら「ひろゆきのキャラクタ」で押し切ってしまえるかも知れません。

おコメ券の対象ですが、もちろん最終的にはうpするユーザー全員を対象可能にするにしても、せっかく色々な企業と提携したのですから、実験的に導入する対象としてavexや吉本が提供する動画でお試し実行してみてはどうでしょう。
avexならミュージシャンのPV、吉本なら新喜劇や漫才なんかは「カネを払ってでも突っ込みたい」人からのコメントでかなりコメントを稼げるかもしれません。特にavexの場合は、AAAとかのまネコなど「ある意味カネを払ってでもコメントしたくなるコンテンツ」を山ほど持っていそうなのでニコニコの皆さんがどこかの同人誌のヒロインみたいなことになって面白そうです。

おコメ券の分配によるクリエイターへの還元効果

おコメ券による収入の分配によって、いくらかの利益がうp主へ還元できることになるでしょう。平均して5コメント/枚として、1万コメント集めれば2000枚のおコメ券、ニワンゴと半々で分けるとしても、5円×2000枚で1万円ですね。企業にとってははした金どころか誤差にしかならない額でしょうが、個人クリエイターにとってはそこそこありがたい金額ですし、1万コメント集めるような動画で1万円の還元なら大多数のニコニコのユーザーにとっては「そのぐらいなら貰っても当然」というぐらいの空気を悪くしない金額ではないでしょうか。これが5万円になるとトゲがでそうな当たり、この辺は配分や金額の配分バランスが大変難しいですね。

懸念はやはり「空気」と「著作権」と「荒らし」

このおコメ券モデルでも、やはり懸念は三点ほどパッと思い浮かびます。
「お金が絡んでしまう」事による空気の悪化と「著作権がらみ」、それと「動画が荒れてしまうこと」ですね。

懸念点1「空気の悪化」

先のエントリで書いた「ニコチャリモデル」とは実は意味合いが微妙に違う」事と、「金額のバランス」によって何とか最悪の事態は回避できる可能性はあると思います。

ニコチャリモデルにおいては、お金を出す意味は「コンテンツに対する対価」です。うp主視線から言うと「うpった事に対する報酬を視聴者から直接お金で貰う」こと感覚的に等しくなります。

一方おコメ券モデルでは、お金を払う意味は「コメントを書くこと」、言い換えれば「盛り上がってる場への参加代」なので、視聴者からすると「うp主に直接お金を渡してる」感覚がなくなり、うp主視点からすると視聴者からではなくニワンゴからご祝儀がもらえるという感覚になります。
つまり「おコメ券」と「ニワンゴ」により、「お金の臭いをうp主からある程度脱臭できる」ことになるのではないでしょうか、と考えるわけです。

間に組織が入ることで「クリエイターからお金の臭いを脱臭する」事に成功してる例として、JASRACがあります。ニワンゴも同様に、クリエイターと視聴者の間にたって「泥を被る役に徹する」ことで、クリエイターからもお金の臭いを脱臭でき、なおかつ、クリエイターに適度な収益を与えることができるのではないでしょうか。

懸念点2「著作権まわり」

これについては、ニコチャリモデルとあまり事態は変わりませんね。どっかの人が勝手にテレビ番組やDVDをうpってお金がもらえるなんていう仕組みになると、やはり言い訳は無理でしょう。おコメ券の対象となる動画については、「オリジナルに限る」条件が必要でしょうから、そうなるとニコニコ動画スタッフによる手動の審査をするしか本質的にはアイディアが浮かびません。ただし、ある一定期間は強制的に「無料コメント期間」にして、その間に視聴者のチェックを受ける、という手は使えそうですね。テレビやDVDのうpならともかく、Youtubeからの勝手転載とかを検出するのは相当にハードそうです。

懸念点3「荒らし」

「金払ってコメントしてるんだから、文句いわれる筋合いは無い」といった感じで、一つの動画に粘着して荒らす人をますます排除できなくなるということが考えられます。これにはNGワード機能NGID機能で対応するしかないでしょうね。視聴者が一人一人対応しても、うp主が対応するのでも良いでしょう。「このID(この単語)をNGにしました」とうp主がきちんとオープンにすれば、批判されることは無いと思います。

やはり「空気」と著作権は問題解決が微妙

とまあ色々妄想してみたわけですが、やはりそう簡単に収益路を増やしたり、クリエイターさんたちへの還元方法を実装するわけにいかないでしょうね。収益路はともかく還元方法については、ニコニコがニコニコでなくなる危険性と表裏一体ですし、著作権問題は、うp主に対するお金が絡むと今までのニコニコ環境が内からも外からも崩されるでしょう。

そんな危険がありつつも、やはり「うp主」やクリエイターに対してそれなりに収益というか利益が還元される仕組みが出来てくるといいなぁとは誰しもが思っているわけですから、ひろゆきには是非頑張って「皆がそこそこ丸く収まる」ような解決方法を期待したいですね。